「現場の人手不足と低賃金」なぜ介護はこんなにも苦しいのか?

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こんにちは、KAIGO KAKUMEIです。今回は介護の世界では当たり前のように聞く、「人手不足」と「低賃金構造」についてわかりやすくお伝えできればと思います。

介護の現場は長きにわたり、特に近年は慢性的な人手不足と低賃金の問題が課題視されています。
この状況は一時的なものではなく、制度そのものが抱える構造的な問題によって引き起こされています。
「人が足りない」「給料が安い」。この言葉の裏には、もっと根深い理由があるのです。

なぜ働き手が集まらないのか?

介護の仕事は、身体的にも精神的にも負荷が大きいものです。排泄介助、認知症対応、夜勤、家族との関係調整など、日々の業務は多岐にわたります。
法人にはよりますが、多くではそれに見合った報酬が支払われていないのが現実です。

フルタイムで働いても、手取りで20万円に届かない介護職員も多く、生活がギリギリで、将来への不安も大きい。
「やりがいがあるから続けられる」という綺麗ごとだけでは、もはや現場も人も持ちません。

若い世代が入っても、すぐに辞めてしまう。 離職率の高さは、待遇の悪さ(職場環境なども含めて)と直結しています。人が定着しないことで、残った職員の負担がさらに増し、悪循環が続いています。

なぜ給料が上がらないのか?

介護事業は、介護保険制度というルールの中で運営されています。(自費サービスは除く)
つまり、”事業者が収益をあげるには国(社会保障審議会)が定めたルールに従うしかない”ということです。

サービスの単価も、加算も、すべて社会保障審議会によって決められています。

処遇改善加算という制度は、介護職員の賃金改善を目的として導入されました。
しかし、その配分方法は法人の裁量に委ねられています。

「処遇改善手当」として給与明細に明記されるケースもあれば、基本給に含めて曖昧に処理されるケースもある。中には、加算を算定しているにもかかわらず、職員に十分に還元されていない事業所もたくさん存在しているのが現状です。

制度上は「職員の賃金改善に充てること」が義務づけられているが、 その使途や配分ルールの透明性は法人ごとにばらつきがあり、現場スタッフの納得感を得られにくい状況にあります。(※もちろんきちんと給与明細への記載および支払いを当たり前に行っているホワイトな法人もたくさんあります。)

構造的な問題

介護事業者は、制度の枠内でしか動けません。介護保険制度内では、自由にサービスの価格を設定できるわけではなく、一定以上の利益を出すことが難しい構造になっています。(介護保険改定のたびに訪問介護事業などは報酬が減少していっている)
そのため、人件費などの経費を抑えるしかなく、結果として職員の待遇が改善されないという事に繋がっています。

 現場は疲弊し、サービスの質も維持できなくなっている事業所も多いのではないでしょうか。

この構造の中で、事業者は「公金ビジネス」として制度に従うしかなく、介護保険の報酬のみに依存している法人は経営が困難になっていってるということです。
 

まとめ:構造自体が変わらなければいけないが、介護報酬依存脱却も始めないといけない

介護の現場では、”働く人が足りず、給料もなかなか上がらない”。そんな状況が長きにわたり続いています。でもそれは、現場の努力が足りないからではなく、制度の仕組みそのものに原因があるのです。

介護保険制度の中では、サービスの価格も報酬も国が決めていて、事業者が自由に動ける範囲は限られています。
サービス種別によっては、介護保険制度改定のたびに報酬が削られ、その中で利益を出すことが難しくなってきており、経費を抑えざるを得ない状況なのです。(物価高の影響ももちろんあります)
結果として、職員の待遇が改善されず、人が集まらない。この流れは、現場の声が制度に届きにくいことにもつながっています。

この現実を、まずは多くの人たちに知ってもらいたい。それが、介護の未来を変える一歩になると信じています。

あとがき

処遇改善加算についての概要と見解や、介護報酬依存脱却における私の考えやアイデアなどはまた別記事に執筆しようと思います。

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