介護報酬完全依存からの脱却。介護現場が創る新しいビジネスモデル

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こんにちは、KAIGO KAKUMEIです。今回は介護保険サービスの現状と保険外(自費)サービスの可能性について執筆します。

介護保険制度運用開始から25年。介護保険サービスと保険外(自費)サービスの現在地は…。

介護保険サービスとは?ひっ迫した現在

介護保険サービスとは、要介護認定を受けた高齢者が、国の制度に基づいて利用できる介護サービスのことです。訪問介護(ホームヘルプサービス)、通所介護(デイサービス)、施設入所などがあり、利用者は原則1割〜3割の自己負担でサービスを受けられます。残りは公費(税金+保険料)で賄われるため、比較的安価で質の高い支援が受けられる仕組みです。

しかし、ここには大きな課題が存在します。

特に近年の介護保険制度改定では、事業種別によっては基本報酬が削減される傾向が強まり、法人の経営を圧迫しています。介護報酬だけに依存した運営では、事業の継続が困難になっているのが現実です。

保険外(自費)サービスとは?自由度と可能性

保険外サービスとは、介護保険の枠外で提供されるサービスのこと。公的な制約がないため、内容・価格・対象者などを自由に設計できるのが特徴です。例えば、外出付き添い、家事代行、リラクゼーション、認知症予防プログラム、介護者向けのカウンセリングなどが挙げられます。

「旨味がない」「自費だから高額にできない」「利益が出にくい」と言われがちですが、私はそうは思いません。ターゲット層とサービスの質が合致すれば、高額設定でも十分に成立します。むしろ、保険外だからこそ“本当に必要とされる価値”を提供できるのです。

介護保険事業の正攻法とその限界

介護保険事業で安定した経営を目指すなら、複数事業の展開が王道です。例えば、デイサービスを複数拠点で運営したり、居宅介護支援、サービス付き高齢者住宅(サ高住)、有料老人ホーム、小規模多機能型居宅介護、グループホームなどを組み合わせて、利用者を定員近くまで埋めることで収益を確保する方法です。

しかし、これは資金・時間・人材・ノウハウのすべてが必要な“重たい戦略”です。単体事業だけで生き残るのは非常に厳しく、報酬改定のたびに経営が揺らぐ法人も少なくありません。だからこそ、保険外サービスの充実が求められているのです。

保険外サービスは「サービス」か「商品」か?

保険外サービスの展開には、大きく分けて2つの方向性があります。

種類内容
サービス型人が提供する体験・支援外出付き添い、介護予防教室、訪問美容、介護者支援
商品型モノとして販売する価値介護食、福祉用具、認知症予防グッズ、情報教材

何を選ぶかは法人や個人の戦略次第になります。サービス型は人材の質が問われ、継続的な関係性が重要。一方、商品型はスケーラビリティ(事業やサービスを、少ない手間でどんどん広げていける力)が高く、オンライン販売などで広く展開が可能です。どちらも「保険外だからこそできること」があり、法人・個人の個性が問われる領域です。

個人による保険外サービスの台頭

近年では、法人だけでなく個人が保険外サービスを展開するケースが急増しています。というより、「増えざるを得ない」と言った方が正確でしょう。制度に縛られず、自分のスキルや経験を活かして、必要とされる人に直接価値を届ける動きが広がっています。

実例紹介:

  • 元介護職が始めた「外出付き添い専門サービス」
  • 看護師が個人で展開する「終末期ケア相談」
  • 福祉用具専門相談員が開発した「自費レンタルサービス」
  • 介護経験者が運営する「介護者向けオンラインサロン」
  • 認知症ケアの専門家による「予防プログラム教材販売」

これらはすべて、保険外だからこそ実現できたサービスです。ニーズは確実に存在し、むしろ制度の隙間を埋める役割を果たしています。

まとめ:制度に依存しない介護の未来へ

介護保険制度は高齢者支援の基盤として今後も重要な役割を果たしますが、介護報酬だけに依存する経営は限界を迎えています。複数事業展開は理想でありながら現実的には困難も多く、保険外サービスの充が今後の鍵となるでしょう。

サービスか商品か。法人か個人か。選択肢は広がっています。大切なのは、「誰に、どんな価値を届けたいのか」という視点。制度の枠を超えた介護の未来は、現場の知恵と行動から始まるのです。

あとがき

2025年2月には、介護保険外サービスの社会的認知度向上と信頼性確保を目的に、介護関連サービス事業協会(Care-related Service Business Association)なるものが設立されました。

  • 主な活動内容
    • サービスのガイドライン策定
    • 認証制度「100年人生サポート認証」の運用
    • 業界横断の情報共有・連携促進
    • 地域包括ケアシステムの強化への貢献
  • 参画企業
    イチロウ株式会社、クラウドケア、シニアライフクリエイト、シルバーライフ、SOMPOケア、ダスキン、ツクイ、やさしい手、ワタミなど。

経済産業省のホームページ協会ホームページで詳細確認が可能です。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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