こんにちは、KAIGO KAKUMEIです。
介護保険制度は、かつては前向きな“拡大”を遂げてきましたが、今は中身の伴わない“膨張”が特に進んでいます。お笑い芸人さんが”Tシャツに風船を入れて膨らます罰ゲーム”のあれです。
今回は、制度の変質とその背景にある現場の課題を整理し、保険外サービスの責任と可能性にも触れながら、制度の未来をどう描くべきかを考えます。
拡大から膨張へ。介護保険制度の変質
介護保険制度は2000年の創設以来、サービスの種類や対象者の拡充を通じて”拡大”を続けてきました。訪問サービス、通所サービス、認知症対応型など、利用者の多様なニーズに応える仕組みが整えられ、制度は前向きな成長を遂げてきたように見えます。
しかし近年、その”拡大”は止まり、代わりに”膨張”が急速に進んでいます。介護保険制度を利用する人が増え、サービスは乱立し、外見上は大きくなっているものの、支える人材や財源は追いついていません。制度の中身が伴わないまま、外側だけが膨らんでいく。この変質こそが、今の介護保険制度の本質です。
拡大が止まった理由は若手離れと現場の疲弊
制度の拡大が止まった背景には、現場の人材構造の変化があります。10年ほど前には、20代・30代のケアマネジャーや介護職員が数多く在籍していましたし、私自身もその1人でした。若い世代が介護の仕事に希望を持ち、現場を支えていた時代です。
しかし、働き手の負担に見合わない低い給与という構造が、長い期間放置されてきた結果、若手の離職や参入の減少が進みました。日本の高齢化が進む中で職員は不足し、施設もトータルでは増えず、働き手も年齢を重ねていく。この流れが制度の広がりを止め、かえって制度を膨らませる要因になっているのです。
現在の介護保険制度はまるでパンパンに膨らんだ風船のようです。空気を入れ続ければ確かに大きく見えますが、外側と中身が伴わなければ強度のバランスは保てません。
保険外・自費サービスの台頭。隙間を埋める覚悟と責任
制度の膨張により、介護保険では拾いきれないニーズが増えています。そうした隙間を埋める存在として、”保険外・自費サービス”が注目されるようになりました。外出同行、生活支援、見守りなど、柔軟なサービスを提供する事業者が増えています。
一方で、制度外であるがゆえに、事故を想定した保険に加入していない、リスク管理が甘い、サービスの質にばらつきがある。そうした事業者も少なくありません。制度で拾えないところを拾うということは、「制度以上の覚悟と責任が求められる部分は大きい」ということを理解しなければなりません。
介護保険とは“別皿・別メニュー”であるからこそ、制度に準じた安全性や倫理性を超える水準でサービスを提供する必要があります。「”保険外”に甘えない。」ということが、保険外サービスの本来の役割なのであり、強みなのではないでしょうか。
膨張を止め、制度を再生するためには
制度の膨張を止め、再び拡大へと転じるには、まず制度の目的を明確にする必要があります。介護保険は何を支える制度なのか。生活支援か、医療的ケアか、家族支援か。はたまた、介護に携わる働き手を支える制度の整備をどうするのかなど。その軸がブれ続ける限り、制度は迷走し続けます。
国はAIやICTなどの導入を進め、「職員の負担軽減」を掲げていますが、現場の負担とは単なる業務量や業務にかかわる精神的負担だけではないよってことです。根底にあるのは、長年放置されてきた”低賃金構造”1択です。テクノロジーに頼るだけでは、本質的な改善には全くもってなりません。
ICT活用や地域連携などは、待遇大幅改善とセットで初めて意味を持ちます。現場の声を制度設計に反映させ、利用者と支援者が共に育てる「共創」の視点が求められています。制度の再構築とは、効率化だけでなく、人が安心して働ける土台づくりがなければ意味がないということです。
まとめ:制度の行き着く先は“破裂”か“再生”か、それとも“改革”を起こせるか
このまま介護保険制度が膨張を続ければ、制度はやがて“破裂”する未来がやってきてしまいます。想像もしたくありませんが…。
そうならないためには、“改革的な制度の見直し及び実施”を早急に行う事。正直なところ、「検討」「見直し」なんてもんに時間をかけるだけ無駄であり、制度膨張が進むだけです。
制度の行き着く先は、“破滅”か“再生”か。それとも、“改革”を起こせるのか。
これは、制度設計者だけでなく、現場で働く人々、サービスを利用する方々、そして日本社会全体に向けられたものです。私たち一人ひとりの意識と行動が、未来を形づくる力になるのです。
あとがき
「問題がわかっているのだから財源を犠牲にして動くしかない。考えるだけ無駄。」
伝わってくれーーーーー!!!!!
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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